日本とアフリカ → チャンス?

6月22日、高知県の「オーテピア」ホールにおいて、アフリカをテーマにしたイベントが開催された。100人を超える来場者で、会場は大盛況であった。

冒頭、JICA四国所長より「SDGs」(持続可能な発展のための目標) についての説明があった。単なる支援だけに留まらない、アフリカの自立に向けた取り組みを、日本およびJICAの活動内容に触れつつ語られていた。

大変興味深かったのは、アフリカという場所が「チャンス」であるというとらえ方だ。アフリカでは有線電話の設備が整っていないが、それがかえって携帯電話の急速な普及を後押しする形になっているらしい。

同様に、銀行システムの整備が遅れているために、エムペサというキャッシュレス決済が浸透しつつあるという。こうした未整備な現状を逆手に取って、一気に新しいシステム・技術が入り込んでいく。ここに日本としても「チャンス」があるということだ。

そういった意味でも、日本政府によるアフリカ支援に関する会議「TICAD」の重要性はより一層高まりを見せつつある。そうした中で、「TICAD 7」が今年8月、日本で開催される。アフリカ諸国の期待と日本政府の支援がマッチングし、よりよい環境が構築されることが望まれる。

次いで行われたJICAガーナ所長の講演では、ガーナに対するJICAの支援について説明があった。ガーナは中進国という位置付けではあるが、未だ校舎のない学校があったり、妊産婦・乳幼児の死亡率が高いという問題を抱えているそうだ。

ただ、ガーナ人には暗さがなく、笑顔があふれているとのことで、それが救いだという。

講演後の質疑応答では、ガーナにおける中国の進出状況について、質問の声が挙がった。私自身も関心を持っていたテーマだ。ガーナ所長によると、

  • ガーナには現在350人の日本人が在留しているが、中国人はその100倍以上、もしかすると10万人ほどはいるのではないかと考えられている
  • 首都アクラは建設ラッシュであるが、その半数以上は中国企業によるものである。こうした企業関係者がいる一方で、金の採掘においては中国人による違法採掘も数多く行われており、様々な中国人が滞在しているようだ
  • JICA ガーナ事務所では、日本人がそういった中国人犯罪者と間違えられる可能性を懸念していたが、近隣住民に対して説明を尽くしたことで、うまく溶け込めている

とのことであった。中国人がアフリカに広く進出しているのは間違いなさそうだ。アフリカを「チャンス」と捉えているのは日本だけではないということだろう。

続いて、在日ルワンダ人歌手の講演が行われた。「ルワンダ=虐殺と未だに結びつけて語られるのは悲しい」と訴え、講演後には、世界で活躍するルワンダ人歌手の素晴らしい歌声が響き渡った。

最後に、ブルキナファソに関するセッションが行われた。高知大学に留学し、農業を勉強しているブルキナファソの方が頑張って日本語で講演されたほか、野球の独立リーグ「高知ファイティングドッグス」で選手として活躍するブルキナファソの方と、ブルキナファソで野球指導支援をされてきた日本人の方が講演の場に立った。

ブルキナファソでは、農薬を大量に使用して作物を栽培しているため、健康に多大な影響が出ているそうだ。そうした中、農薬を減らしても農作物の収量を確保するため、日本でビニルハウス栽培のノウハウなどを勉強しているという。

日本のこうした技術指導やアフターケアといった支援方法は、他国と比べても優れている点ではないだろうか。中国の行う資金投下型・施設建設型の一方的な支援ではなく、日本人らしいきめ細かさ・手厚いフォローに基づく支援が、アフリカの真の自立を後押ししていくものと信じたい。