紛争地への支援のあり方とは

6月9日、徳島県国際交流協会 (徳島市寺島本町1-61 クレメントプラザ6F) において、徳島県内で在留外国人の生活ガイドブックを作成するなど、外国人支援をしている団体「国際交流懇話会 HIROBA」が主催した、鳴門教育大学在籍アフガニスタン人の講演会「アフガニスタンの過去、現在、未来」が開催された。

アフガニスタンの方の生の声を聞ける機会はそうあるものではなく、大変興味深いものであった。

講師の方は、鳴門教育大学に在籍する男性2人で、アフガニスタン本国の教育部に所属しているという。彼らは、現在JICAの長期研修の枠組みで鳴門教育大学に在籍しており、

「アフガニスタンは識字率が38.2%と極めて低い。私たちは、こうした教育問題を解決したいと思って日本にやってきた」

と留学の目的を語っていた。

お二方が語った内容は、次のようなものであった。

  • アフガニスタンからはフルーツを中心に輸出しているが、その10倍ほどの金額を輸入しており、このアンバランスさが問題となっている
  • アフガニスタンには豊富な天然資源があるものの、これらを開発するには大きな問題がある。その一つは洪水・大雪が多いという自然環境に起因する問題。二つ目が、開発のための技術・資金面の問題で、他国からの支援が必要である点。最後に、資源のある場所は地方であり、安全ではないことだ。このため、資源があるにもかかわらず、アフガニスタンは依然として貧しい
  • アフガニスタンは99%がイスラム教徒であり、あらゆる分野でイスラム法が基盤となっている
  • 内戦でアフガニスタンの教育システムは崩壊した。特に1996~2001年のタリバン統治時代は女性が教育を受けられない時代だった。しかし2001年から再建が進み、現在は女性も教育が受けられるようになっている
  • 教育における問題は、内戦が続いていること、小学校に上がる前の教育がないこと (反面、宗教的知識はモスクに行って身につけており、また学校でも宗教に関する授業は週に1回は行われている)、地方では校舎がなく青空教室になっている場所もあること、熟練の教師が少なく給与が極めて低いこと、教科書が入手しづらいこと等がある

アフガニスタンでは依然として治安の問題もあり、貧しい生活を強いられているようであった。自国のみでの資源開発が難しい状況であり、日本からも積極的に技術支援をしていくことが一つの解決策になるかもしれない。

また、特に教育分野における支援は、アフガニスタンの未来を支える人材を育てることにも繋がり、自立の一助となるだろう。