先日、日本で働くミャンマー人の方と話をする機会があった。日本語も堪能で非常に優秀な印象だ。その方は来日前、日本をはじめとする海外の自動車等を輸入販売する会社に勤めていたそうで、ミャンマーの海外車事情について聞いてみた。
ミャンマーでは日本製の中古自動車が好まれ、かなりの台数が走っているらしい。ところが、2018年1月頃からミャンマー政府は右ハンドル車の輸入を規制し始めたため、日本の中古車が輸入できなくなってしまった。
規制の理由は、ヤンゴン市内の大渋滞の解消のためとされている。日本車を意図的に締め出すという考えではないようだが、中古車を輸入するのではなく、新車を、特にミャンマー国内で製造してほしいという考えが政府にはあるようだ。
すると、その規制が実施されて以降、その方が勤めていた自動車販売会社には、中国の自動車メーカー「東風」が新車 (左ハンドル)の売り込み営業を強めてきたそうである。
ヤンゴン市内では、これまで公共バスについてはバス停がなく、利用者が自由に乗り降りしていたが、最近になってバス運行のシステムが整備されつつあり、バス停で乗り降りするようになっているとのこと。その際に、これまで利用していた日本製の中古バスから、十数台が中国製のバスに入れ替えられたそうだ。
ただ、ヤンゴン市民としては、中国製のバスはすぐに壊れるかもしれないと性能を不安視する向きが多く、大多数からは歓迎されていないようである。
中国の「一帯一路」政策により、東南アジアをはじめ広くチャイナマネーがばらまかれ、その結果「債務のワナ」と呼ばれる権益の侵害事案(スリランカでの港湾施設99年借用等) も発生している。
大きなインフラ整備だけでなく、こうした国民生活に密着したところからも、中国の影響力の浸透というのはうかがわれるところだ。
ましてや、米国との貿易戦争が続く中で、「一帯一路」政策がより拡張されるおそれも否定できないだろう。こうした動きの中、我が国がどう中国と向き合っていくのか、これは喫緊の課題である。